本「症例A」 多島斗志之

ワタシ的評価★★★☆☆

精神科医の榊は亜左美という17歳の少女の担当医になる。
彼女は前担当医師の診断では分裂症ということだが,
接していくうちに「境界例(=境界性人格障害)ではないのか?」という疑惑を持ち始める。
分裂症と境界例では治療方法も全く異なる。
が,表出症状は共通点も多く,榊は診断に悩む。
その後,多重人格か!?という疑惑も出始め,榊は悩む……。

興味深い話だった,というよりハマった!
精神科医には患者と触れ合い,感化されて精神の病を発症してしまう人もいるらしい。
元々自分にその要素があるから精神科医を目指すのか…。
院長のその台詞に少し寒気がした。
私がこの本に引きずられるのも,何か原因があるのだろうか……。

境界例については,知人に分裂症の家族を持った人がいて,
あまりにも表出症状が似ているのに驚いた。
病気のせいとはいえ,人間関係をめちゃくちゃにされると知人は嘆いていた。

人間の体というのはまだまだ解明されていないのだな,と思う。
以前見た図書では分裂症患者に染色体異常のある例があると書いてあったけど…。
中枢神経に異常があるという事だけど,彼等には世界はどう見えるんだろう。

印象的だったのは,榊の悩む所,
「精神病患者の治療のゴールは本当に社会復帰でいいのか」という所。
私も(素人やけど)それはまた違う気がする。
だけど,人間は群でのみ生活していくのでそのゴールを目指さないと疎外されていくよね。。

精神病をテーマにした本は症状の衝撃さばかりを題材にしているものが多い中,
この本は真摯に内面にアプローチした本だったように思う。
内容濃い本だった。

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by hiroponnaruaimam | 2005-10-20 12:56 | 読んだ本です。