『桜姫』 近藤史恵 角川書店

e0015251_817312.jpg『桜姫』 近藤史恵 角川書店
オススメ度 ★★★☆☆ なかなか良かった。
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シリーズもので「歌舞伎シリーズ」の一作品のようです。
私は歌舞伎を全く知らないので、イメージが膨らまなくて残念。歌舞伎知ってたら、もっと面白く読めたのかな。

主人公の笙子の兄・音也は幼い頃亡くなった。兄の音也は歌舞伎役者の跡取りとして期待されていて、とても大切に育てられていた。兄が死なずに、女の自分が生き残ったことで、家族関係もぎくしゃくして父とは不仲、そして母は数年前に自殺。家庭不和と、そして、笙子はひとつの悪夢に悩まされている。それは、自分が兄を絞め殺したという悪夢。
大人になった今もその夢に苦しめられている笙子の前に、幼い頃、音也の親友だったという若手で才能ある歌舞伎役者・銀京が現れる。
銀京に惹かれる笙子。そして、二人で、音也死亡の真相に迫る。
そこで、なぜか、銀京と付き合うことも、真相に迫ることにも反発する父親と親族。
過去になにがあるの? 
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登場人物に感情移入して読んでいけるけれど、甘くなく、論理的。
すっきりした書き方で、文章自体を飾り付けていないのに、本文以上のものを連想させてくれるあたり、巧いなぁと思う。
この作者の作品では『シェルター』(整体師シリーズ、というの?)もなかなか良かった。



近藤史恵の作品は、前述にも書いたようにすっきりしているのに、それ以上のものを連想させてくれる。
全体を見ると、ミステリーとしては少し物足りないし、登場人物のキャラも弱い気はするから、★みっつ。
まさか音也が実在していない(と言うと、少し語弊があるわね)とは思わなかったので、結末には驚いた。
まさか、同一人物とはねー。
ミステリー的には「なんじゃ、それ~」の結末よね(笑、それについての伏線も弱すぎだし。
だけど、事実を知ったことで、笙子は周りの愛情も感じることが出来たし、光が見えてラストだったのが良かった。これでラストもどよよ~ん、だったら嫌だけど。
しかし、父の笙子への態度、それに自殺した母。弱すぎて腹が立つ。それで笙子を避けていたのね・・・、なんて納得なんてできるものか。
文中の笙子の
「そのことよりも自分が傷つくであろうということに配慮がないことに傷ついた」
みたいなくだりを読み返すと切なくなる。
大筋の謎のほかに、「死んでしまった少年(兄ではなく、歌舞伎世界で頑張る男の子)」のストーリーが泣けた。
ここに出てくる大人は、何をやっているんだという腹立ちがあった。
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by hiroponnaruaimam | 2007-12-28 08:19 | 読んだ本です。